十一月画廊の黒田阿未展を見る

 東京銀座の十一月画廊で黒田阿未展「揺れるスカートの記憶」が開かれている(7月19日まで)。黒田は1991年、富山県生まれ。2013年に東北生活文化大学生活美術学科を卒業し、2014年に同大学研究生を終了している。2013年に仙台市の画廊で初個展、今回が2回目の個展になるが、東京では2013年の櫟画廊のグループ展に続いて初個展となる。






 黒田は大きな版画作品を軸装して出品している。版画だが1点もののモノタイプだ。その他に額装した大小の版画作品と小さな油彩が展示されている。
 黒田のテーマは女学生で、軸装された作品は版をずらしたり、蝋を垂らしたり、画面を汚すなど、ストレートに描くことを避けているように見える。そして額装した作品は少々妖しい世界を描いている。
 よく見ればデッサンは正確ではないようだし、決して巧い作家ではない。ただ、ある種の雰囲気を持っている。そのことは毎年数多く生まれてくる作家の中に埋もれてしまわない長所だろう。巧い作家は少なくはないが、巧いだけでは残れないのが美術の世界だ。その点、黒田の妖しい世界は一定の評価を得るだろう。今後はモノタイプではなく、多くのエディションを作るのが必要ではないか。油彩作品はあまり印象に残るものではなかった。
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黒田阿未展「揺れるスカートの記憶」
2014年7月7日(月)−7月19日(土)
12:00−19:00(土曜日17:00まで)日曜休廊
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十一月画廊
東京都中央区銀座7-11-11 長谷川ビル3F
電話03-3289-8880
http://juichigatsu-g.com/