ペッパーズギャラリーの彫刻展


 銀座7丁目のペッパーズギャラリーで岩城諒子と村山まりあの彫刻二人展が開かれている(4月4日まで)。
 これがとても面白い。まず岩城諒子の作品は「未現」と題されている。手がいくつも並べられている。それは層のように重ねられて手の形を作っている。そんな不自然な作り方だが、手の表現はリアルなのが不思議だ。岩城は東京芸大大学院の美術解剖学研究室に在籍しているという。体の構造を正確に知り抜いているからこのような造形が可能なのだろう。不自然な造形でありながら抑えるべきところは抑えているからリアルな手が再現されているのだろう。
 ところが驚くのはこの先だった。彫刻の素材は豚の脂肪だという。脂肪を固めて作っているのだ。作家の言葉がリーフレットに印刷されている。

脂肪というのは、たまりやすい箇所とたまりにくい箇所があるにしろ、全身に分布していて、はっきりとした形をなしていない。この作品は、そういう元々形を持たない脂肪を使って、自分の内包している形を持たず、人にも見せないし、自分でも終始意識しているわけではない、潜在的に抱えているものを表出させようとしたものである。

 作家は1985年生まれ。この先が楽しみだ。


 もう一人は村山まりあ、「変異-variation-」と題されている。女の上半身が3態で表現されている。いずれも表面にロウの流れたような、あるいは泥が流れたような、または穴がぶつぶつ開いた女性像だ。これもまた見飽きない人物像だった。
 作者の言葉。

 ヒトの形をしているがそれらはヒトではない。

ペッパーズギャラリー
東京都中央区銀座7-13-2銀座パインビルB1
電話03-3544-3240
http://peppers-project.com
AM11:00ーPM7:00(土曜日ーPM4:00)