ギャラリー小柳の内藤礼展を見た

 銀座1丁目のギャラリー小柳で内藤礼展が始まった。タイトルが「color beginning」、5月16日までだ。
 タイトルにあるように薄いピンク色をまぶしたような平面作品が大小12点展示されている。そのほかに横浜トリエンナーレ三渓園で発表された電熱器に揺らぐ絹糸の作品、昨年の東京都現代美術館で発表された水道から水がビンの中に流れ落ちビンの中の布が動いている作品、精霊(母型)と題されたハンカチみたいな布を小さく畳んだ作品等々だ。
 三渓園で見た作品は古い茅屋の一室に設置されていて微かな気配みたいなものが感じられて印象的だった。
 「横浜トリエンナーレ、三渓園の内藤礼」(2008年12月2日)
 しかしギャラリーのいわゆるホワイトキューブに設置された同じ電熱器の作品はあの時のオーラが消え去り、電熱器とその上に揺れる絹糸が単なるモノになっていると感じられた。あれ、内藤礼って、もの派の作家だったっけ? いやレディメイドの作家だっけ? なんて皮肉を考えてしまった。
 この電熱器の作品が1,575,000円の値段が付けられていて売約済みだった。ピンク色の平面作品も100万円を超えているのに何点も売れていた。
 しかしこの平面作品は作品自体の魅力が感じられない。内藤礼の作品と分からなかったら、買おうという人間がいるだろうか? 
 今回画廊という空間におかれた内藤礼の作品を見て、当たり前だが画廊は作品を商品として売るための場所だと思った。内藤の作品が白い空間の中に商品として並べられたとき、オーラが取り外されて裸になっていた。ちょっとばかり無残な感じだった。

 「内藤礼の作品がよく分からない」(2008年8月30日)
 「内藤礼の作品について」(2008年10月2日)