今日の朝日新聞の「悩みのるつぼ」は相談者が50歳の主婦。大学2年生一人暮らしの20歳の一人娘が、帰省した折りダッコをせがむことを、いい年をしてこんな風でいいのかと相談している。
岡田斗司夫の回答が優れている。「安心してください。あなたの娘は自立しつつあります」。一人暮らしでアルバイトもしている娘は本人の自意識では「ほぼ一人前」なんです。
一人前の女性が母親に会うと、居心地が悪いのは当たり前。自立した娘はあなたの家に帰省すると、微妙に居心地が悪い。
人間というのは「自分の居場所」がないと落ち着きません。だから娘は、あなたの家の中にはすでにない居場所を探して、それを「過去の時間・関係」の中に見つけた。つまり「優しいママと、可愛い子供」ですね。
これは同窓会と同じ現象です。同窓会では1歳年上の先輩があいかわらず先輩風を吹かせ、10歳も違わない先生から人生の説教を受けたりしています。年齢を重ねれば、多少の年齢差などないも同然のはず。(中略)なのに、同窓会ではなぜ昔の人間関係に戻るのか?
すでに何の関係もない赤の他人同士だから、居心地が悪いからです。他人同士だから、昔の関係を演じるしか共通点が持てないんですよ。
そして優れた結論が提示される。
ちなみに、人間が過去の関係を演じる理由は二つだけ。「いま居心地が悪いから」「元のサヤに戻りたいから」です。
岡田斗司夫「ぼくたちの洗脳社会」(朝日文庫)を読み直してみようか。
- 作者: 岡田斗司夫
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 1998/10
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