吉田秋生『増補 ハナコ月記』を読む

 吉田秋生『増補 ハナコ月記』(ちくま書房)を読む。1988年に創刊されたマガジンハウスの週刊誌『Hanako』に連載されたマンガ。ただし高野文子吉田秋生しりあがり寿江口寿史の4人のマンガ家が、毎週1人ずつ交代で描いていたので4週に1回、月に1回の掲載だった。それで「ハナコ月記」というタイトルになった。また作家名も吉田秋生でなくスージー吉田となっていた。

 当時(36年前になる)私は「ハナコ月記」が気に入って、これが掲載される号だけ買っていた。でもこれ以外は全く興味がなく、マンガを読み終わった『Hanako』は会社の女性デザイナーにあげていた。

 その連載8回目がこのマンガ。いつも見開き2ページの単純なストーリー。フリーのイラストレーターのハナコ26歳とサラリーマンのイチロー27歳は同棲している。今回ハナコは友達とアンナミラーズというカフェに来ている。



 二人が、アンナミラーズは「思いっきりムネを強調してすっごいミニスカート」で男のヒトにファンが多いらしいと話している。ほかのファミリーレストランに比べるとたかいと思うけど、あたしたち(女たち)にはカンケーない、女があんなモンみたっておっもっしっろっくもなんっともない、とぼやいている。

 で、早速好奇心旺盛な男のヒトたる私は品川駅前のアンナミラーズに行ってみた(何しろ私もまだ40歳の男盛りだった)。胸が強調されているのはウェートレスの彼女たちの制服のデザインで、たぶん大きなパッドを入れているのだろう。ミニスカートを履いているのできれいな足の子が多かったと思うけど、胸と足とかそんなにツボではなかったので、その後はもう行かなかった。Wikipediaによると最後に残った品川の店舗も一昨年閉店したのだった。

 当時私はスージー吉田が吉田秋生だとは知らなかった。ただ「ハナコ月記」を知ったので、OLの日常を描いた南Q太とか安彦麻理絵とかを読み始めた。吉田秋生は娘から『バナナフィッシュ』を教わってからのめり込んだのだった。いまでも『詩歌川百景』の4巻目がでるのを待っている。