マリーゴールドに大発生したハダニ

 都営住宅の前にある植え込みのマリーゴールドにハダニが大発生している。白く糸を張るのを見てもハダニがクモの仲間であることが分かる。ハダニというのは植物の葉や花に寄生して樹液を吸うので「葉ダニ」なのだ。動物や人に寄生することは全くない。




 こんなに白い糸を張り巡らせるのはハダニの中でもナミハダニだろう。ハダニは農業害虫として大きな存在だ。しかしハダニが問題になってきたのはまだ新しい。戦後農薬が普及してきてからだ。殺虫剤がハダニの天敵昆虫を殺してしまうのでハダニが問題になってきたのだ。
 殺虫剤の合成ピレスロイド剤が開発されたときは特にそれが際立った。合成ピレスロイド剤はきわめて強い殺虫力を持っているので、ハダニの天敵昆虫が徹底的に死滅してしまい、それを散布した果樹園などでは驚くほどハダニが発生した。この現象をリサージェンスと言った。
 最初に農業用の合成ピレスロイド剤スミサイジンを開発した住友化学は、使用回数を控えて年に1度か2度程度の散布とするよう指導していたほどだった。ついでに言えば、合成ピレスロイドは除虫菊の成分ピレトリンの構造をもとに化学的に合成したものだ。