歴史は味なことをする

 読売新聞の8月2日の書評欄に、池内了によるデズモンドとムーアの「ダーウィンが信じた道」(NHK出版)の書評が載っている。

 名門のダーウィン家および姻戚関係にあるウェッジウッド家(ダーウィンの妻エマはその末娘)は代々奴隷制に反対する活動を行っており、その影響下でダーウィン自身も人種差別に対し強い反感を持つようになった。(中略)
 ダーウィンリンカーンの誕生日が同じであることが偶然ではないような気がする。歴史は味なことをするものだとしみじみ思う。

 現代の日本画の頂点をゆく画家平山郁夫の誕生日は1930年6月15日だ。奇しくもわが山本弘の誕生日も全く同じ日なのだ。生涯無名でアル中に苦しみ51歳で自らその生を閉じた山本と平山に共通するのはわずかに画家であること、苗字に山の文字があることくらいだ。歴史は味なことをするものだとしみじみ思う。