平山郁夫・片岡球子と巨匠版画展


 丸善日本橋店3Fギャラリーで「平山郁夫片岡球子と巨匠版画展」が開かれている(27日まで)。版画というが具体的にはリトグラフ木版画で、正確には画家たちの原画をもとに職人が版を作り、できあがった作品に画家がサインをしただけのもの、つまりエスタンプといういわば2級品だ。にもかかわらず平山郁夫の20号くらいの版画で189万円もする。そんな作品に中年や老年の夫婦の客が何組も真剣に見入っているのだ。威厳をもった初老の店員が熱心に勧めていた。
 どうしてこんな印刷みたいなものに100万円の余も出すのだろう。30年後には5万円の価値もないのではないか。むかし、お父さんの遺産が入ったので、父の記念に100万円の予算で平山郁夫リトグラフを買おうと思っていますという知人に、そんなものより若手の(本物のちゃんとした)絵を買ったらいかがですかとアドバイスしたが、いや私たちは夫婦とも平山郁夫さんが大好きなのですと反論されたことがあった。
 平山郁夫の本画はもちろん高すぎて買えないだろう。いや壁画の原画のドローイングですら1,000万円を超えているという。たしかに100万円の予算で買える平山郁夫エスタンプくらいだろう。でもこれって、安室奈美恵のファンが彼女の水着写真を100万円で買うようなものではないか。
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平山郁夫片岡球子と巨匠版画展
2011年9月21日(水)→27日(火)
9:30〜20:30(最終日は17:00まで)
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丸善日本橋店3Fギャラリー
東京都中央区日本橋2-3-10