近所のマンションの防犯カメラの上にツバメが巣をかけた。雛が孵り親が忙しく餌を運んでいる。ここはちょうど通路の真上になるので糞が落ちてくる。それを注意する貼り紙があった。
ツバメの数が減っているようだ。農作物の害虫を捕食してくれていたので益鳥として保護されていたが、日本人はそのことを忘れつつあるのかもしれない。
子どもの頃何年間か、実家の室内にツバメが巣をかけた。そのため朝早くから障子と縁側のガラス窓を開け放していたのだった。
ツバメと言えば久保田創二の句を思い出す。
死 な ば 十 代 帰 燕 せ つ な き 高 さ 飛 ぶ
この「帰燕せつなき高さ飛ぶ」を山本弘の思い出を書いたエッセイのタイトルに使わせてもらった。久保田創二は長野県飯田市の俳人、山本弘の友人でもあった。
久保田創二の句はいつも山口誓子の次の句を思い出させる。
海 に 出 て 木 枯 帰 る と こ ろ な し
昭和19年に特攻隊を思って詠んだらしい。それぞれ戦後と戦中の句だが、時代の閉塞感が共通するのだろうか。