黄龍起の写真展「筑豊・ケツワリ峠」がとてもいい

 銀座ニコンサロンで開かれている黄龍起(ファン・ヨンギ)の写真展「筑豊・ケツワリ峠」がとてもいい。作家は韓国の大学を卒業した後来日して日本で写真を学んでいる。ニコンサロンのホームページから。

2006年、ある日の夕方、作者は「田川」で日本に住んでいる在日朝鮮人と初めて出会った。そして、その人とその家族たちに取り囲まれて筑豊朝鮮人の歴史について聞かせてもらうことができた。……その筑豊の歴史が作者の心をより痛くした。その日に聞いた話は、作者の中に強く響いて、深く沈んだ。結局、作者は韓国に帰ろうとしていた計画を3年後に延ばした。
(中略)
作者はある旧炭鉱住宅団地を訪問した時、「あそこに朝鮮人が住んでいます!」と、日本人のおばさんから一人の在日朝鮮人のおばあさんを紹介してもらった。その人は古い炭住に今も住んでいた。生まれた場所も日本、韓国語も全然できない朝鮮の婦人。若かった時は朝から夜まで仕事をしていて、3人の息子たちを一人で育てたそうだ。末の息子が日本の女性と数ヶ月前に結婚したことを話しながら、その時のアルバムを取り出して見せてくれた。彼女は息子夫妻が近くに住んでいて、孫たちと楽しく過ごしていると言った。筑豊にはこのような在日朝鮮人たちが多数暮らしている。

 在日の老人たちの肖像写真がすばらしい。91歳の老婦人は朝鮮の晴れ着のようなものを着て毅然として座っている。みな毅然としているのだ。性格も少しきつそうだ。それが彼らの歴史、在日として苦労してきたに違いない歴史を表しているのではないか。被写体の内面まできっちり写し出したカメラマンがすばらしい。同国人だからこそ撮れた写真でもあるだろうが。

8月19日〜9月1日(火)10:00ー19:00
銀座ニコンサロン 東京都中央区銀座7丁目10−1
電話03-5537-1469
http://www.nikon-image.com/jpn/activity/salon/