ギャラリー現の中村岳展がおもしろい

 銀座1丁目のギャラリー現で中村岳展が開かれている(29日まで)。このインスタレーションがおもしろい。



 作品は写真で見るように柱を組み合わせたものだ。日本建築の柱梁構造の骨格を再現したように見える。しかし実はこれが非常に複雑で、見る位置によって様々に表情を変え、全体の構造を捉えるのが困難なほどだ。不思議な空間が作られている。それは写真では分かりにくい。ぜひギャラリーへ足を運んで実地に体験してほしい。
 ところが奥の事務所の入り口へ移ってそこからギャラリーを見ると作品が一変する。全体の構造が一望できるのだ。この変化を体験することの快感! しかしまた外側から見たとき作品は複雑な様相に戻り、不思議な空間が戻ってくる。
 柱は漆や塗料、アクリル絵具、油絵具などで彩色されており、古い柱を流用しているわけではない。しかし色や形から想像できるように、古い神社仏閣を引用しているのだ。
 作家は1966年生まれ、多摩美術大学大学院を修了している。個展を何度も開催している。ぶっきらぼうな表情のインスタレーションは取っつきにくいかもしれないが、新しい空間の創造という点で非常に面白い提案をしていると思う。多くの人に見てもらいたい。

会期:8月17日(月)ー29日(土)
11:00〜19:00(最終日は17:00まで)
ギャラリー現
東京都中央区銀座1-10-19銀座一ビル3階
電話03-3561-6869
http://www.jpartmuseum.com/g_gen/