ポトラッチ再び

 先日「ヴァレンタインのゴディバ」(2011年2月13日)でポトラッチを紹介した。プレゼントの贈答で、キモは相手から高価な贈り物を受けとることではなく、相手に多額の出費をさせることなのだと指摘した。信じられないようなことかもしれないが、その実例を示したい。
 部下から嫌われている課長がいた。そのM課長が夜の酒席へ部下を誘った。翌日部下のS君から聞いたことが印象的だった。Mさんは勘定のときに領収証をもらっていたんだ。あとで会社に請求するんだろう。自分の金でご馳走してくれたんじゃなかったんだよ。S君は憤慨していたが、金の出所がどこであろうと酒に変わりはないはずだ。それがそうではないのは、ご馳走そのものが大事なのではなく、部下のために自分の財を消費することが大事なのだ。贈答の基本は贈る側に欠損が生じることなのだ。