銀座1丁目のギャラリー小柳で須田悦弘展が始まっている。須田は木彫作家で、極めて写実的な植物を彫り、それに着彩している。本物の植物と見まごうばかりの高い完成度だ。
今回の展示は11点、それを広いギャラリーの壁や床などに設置している。まず一通り画廊を見て回ってから、スタッフの女性に今回は何点展示しているのか聞く。11点というのを教えられたが、実は5点しか気づかなかった。あらためて探し直す。見知らぬ女性のお客さんとも教え合いながらやっと11点が見つかった。
アサガオが数点、つるが伸び葉が開き花が咲いている。萩の花、チューリップ、ツツジ、シャクヤク、ドクダミ、そしてスタッフのいるカウンターの下に、これは金でできた小さな雑草が置かれている。
須田は最初の個展を銀座の道路で行っている。リヤカーの上に設置した閉じられたスペース(部屋?)に木彫の作品を1点展示した。そして道路交通法違反を免れるため、そのリヤカーをあちこち移動させたらしい。最初のリヤカーの展示は見ていないが、原美術館で個展が行われたとき、参考出品されていた。
2度目の個展は銀座にあったギャラリイKで行った。この個展では小さな雑草の木彫を展示していたが、壁際に置いた作品について観客から、毎日水をやっているのですか? と質問があったとギャラリーの方が言っていた。この時は私の勤める会社に須田さんからDMが送られてきた。理由を聞くと、私の会社で出版していた「日本原色雑草図鑑」を参考にさせてもらったからだとのことだった。
須田はいつも展示にこだわりを見せる。壁に取り付けたり、天井から吊り下げたり、カーテンの後ろに隠したり、素直な展示の仕方をしない。それはなぜか? おそらく普通の展示をすると、作品が工芸品に見えてしまうのを恐れているのではないか。須田は工芸品ではなく、美術品を作っている。変わった方法の展示という異化作用によって、そのことを理解させたいのではないか。
須田悦弘展
2010年6月25日(金)−7月31日(土)、日・月・祝日閉廊
11:00−19:00
ギャラリー小柳
東京都中央区銀座1-7-5
電話03-3561-1896
http://www.gallerykoyanagi.com