インドネシアでの津波被害


 インドネシアジャワ島で大きな津波の被害があった。今日の発表で200人以上が亡くなっている。津波の原因は地震ではなく火山の噴火によるものだという。スンダ海峡にあるアナウクラカタウ島の火山が噴火した。クラカタウと聞いて『生物の消えた島』(福音館書店)という絵本を思い出した。生態学者の田川日出夫が書いて、松岡達英が絵を描いている。31年前の1987年に発行されたものだ。
 クラカタウ島(大ラカタ島)は1883年に大爆発した。クラカタウ島の大部分が吹き飛んで、爆発音は2000キロ離れたオーストラリアやタイまで聞こえたという。クラカタウ島の大部分は水面から200メートルもの深いところから吹き飛んで、津波の高さは40メートルもあったという。津波鹿児島市の甲突川にも押し寄せてきた。
 その40年以上経ったあとに海底火山の噴火が始まり、クラカタウ島の近くに新しい島が誕生した。これがアナククラカタウ島で、アナクという言葉はインドネシア語で子どもという意味だという。今回爆発して津波を起こしたのがこのアナククラカタウ島の火山だ。
 田川ら日本の調査団が1883年の噴火後100年近く経ったころ、いったんすべての生物が死に絶えたあと、どんなふうに再生するのか調査している。この絵本はその再生経過が綴られている。
 1883年(明治26年)に大噴火があったクラカタウ島、その135年後の今回の噴火だ。本書は絵本ながらクラカタウ島の噴火について教えてくれる。



生物の消えた島 (福音館の科学シリーズ)

生物の消えた島 (福音館の科学シリーズ)