藍画廊の亀山尚子展を見る

 東京銀座の藍画廊で亀山尚子展が開かれている(12月22日まで)。亀山尚子は1970年静岡県生まれ、1995年に武蔵野美術大学大学院を修了している。大学院在学中の1994年に東京芸術劇場展示室で初個展を開いた。初個展から非凡な作家だった。その後、藍画廊を主に、また23ギャラリーやガレリアキマイラで個展を開き、VOCA展にも選ばれている。











 亀山の個展は3年前の藍画廊以来だ。初期の頃の寒色系の色彩で抽象的な形から、近年は暖色系の色彩も使い植物のイメージも取り上げている。育児のため一時休止していた個展を再開してから植物のイメージが現れ、暖色系を使うようになった。この変化について、同じく育児を経験した丸野由希子と話したとき、丸野に「出産と育児を経験すると、抽象作品を作っている女性作家は色彩に暖色系が増え、植物などの形が画面に現れる傾向があるように思う」と言うと、丸野さんが、育児をすると子どもと一緒になって草花を見たり雲を見たりする、こんな小さな花が咲いているよと子どもに見せたくなる、それで画面に具体的な植物などが現れるのでしょうと言われた。
 今回は草花の外に水墨画のような静かな風景が描かれている。総じて亀山の作品に具象的な要素が浸透している印象を受ける。抽象一辺倒だった作家に具象的なものが現れるのを私は何度か見てきた。中津川浩章や浅見貴子、母袋俊也、赤塚祐二らがそうだった。そしてその場合、赤塚以外は成功していると思う。
 亀山の個展は3年ぶりだ。その前は4年ぶりだった。少なくとも2年に1度は発表してほしい。次の個展はぜひ2020年に!
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亀山尚子展
2018年12月17日(月)−12月22日(土)
11:30−19:00(最終日18:00まで)
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藍画廊
東京都中央区銀座1-5-2 西勢ビル2F
電話03-3567-8777
http://igallery.sakura.ne.jp/