地下鉄丸ノ内線四谷三丁目駅近くのお岩水かけ観音について

 小林紀晴『写真で愉しむ 東京「水流」地形散歩』(集英社新書)を読むと、四谷三丁目のお岩水かけ観音に触れている。

……四谷三丁目の交差点近くにあるスーパーマーケットの丸正食品総本店前のお岩水かけ観音。かなり目を引く存在なのだが、あの四谷怪談と深く関係している。



 いや、そんなに目立った存在ではない。店舗の前の一角にひっそりと設置されているといった印象だ。まるでレリーフのようで、存在を主張することなくさりげなく置かれている。横に銘板があるが文字が読めない。ネットで由来を調べてみた。

 貞享年間(1684〜1687)四谷左門町に住む御家人宮又左衛門の一人娘お岩は迎えた婿養子伊右衛門の放蕩が原因で哀しくも狂乱行方知れずになりそれからと云うものは種々怪奇な事件が頻発したが田宮家の菩提寺にてお岩の霊を供養したところようやく平穏になったと伝えられています
 この伝説をもとに脚色したのが鶴屋南北東海道四谷怪談で文政八年(1825)三代目菊五郎の浅草市村座で初演大評判を得ました
 当お岩水かけ観音は縁あって再建の世話人をつとめた飯塚五兵衛が昭和四十六年九月■丸正食品株式会社本社屋建築施行の際■かけ昭和四十九年九月二十三日満願にあ■稲荷と観音様の慈愛をこめて祈願成就のしるしとして新たに分祀建立したものです
※新宿区の歴史(http://tokyoshinjuku.blog.shinobi.jp/四谷/お岩水掛観音)より

 昭和49年9月23日に分祀建立したものだとある(なお文中■はママ)。ここからすぐ近くに澤登ビルがあり、その9階にギャラリーTS4312 がある。この不思議な名前の由来は、住所の「東京都新宿区四谷三丁目12番地」の頭文字を取ったものだという。