東京上野の東京都美術館でエゴン・シーレ展が開かれている(4月9日まで)。エゴン・シーレ展は久しぶりの開催で人気があるらしく、チケットは日時指定の前売券となっている。事実会場は混んでいた。
エゴン・シーレは好きな画家で画集も何冊か持っている。33年前に見た東急Bunkamuraの美術館での個展は印象に残っている。特に真四角なキャンバスの風景画が忘れられない。
さて、一通り見た感想が、何じゃこりゃ、だった。エゴン・シーレ展とは言いながらエゴン・シーレの作品が少ない。後で作品リストで数えてみたら、全出品数115点のうち、エゴン・シーレは49点、そのうち油彩がわずか22点、半数以上がオーストリアの同時代の画家たちの作品だった。クリムトが8点、ココシュカが6点ある。
ちらしをよく見ると、小さな字で「レオポルド美術館」エゴン・シーレ展と書かれている。レオポルド美術館はレオポルド夫妻のコレクションを展示する美術館だった。エゴン・シーレのコレクションでは世界最大とWikipediaにある。つまり今回のエゴン・シーレ展は実はレオポルド美術館のエゴン・シーレと同時代作家展というのが正しい名称なのだった。でもちらしのどこにもそんなことは書かれていなかった。
エゴン・シーレの油彩を見て、極論すればこれは印刷された図版で見てもさほど違和感がないというものだった。それは50年前に東京国立近代美術館でルネ・マグリット展を見たときに感じたことと一緒だった。それと真逆の体験が30年前に見た国立西洋美術館のバーンズ・コレクション展のスーラだった。それまで図版で見ていたスーラが少しも面白くなかったのに、バーンズ・コレクションの200号はあろうかというスーラの作品は、いつまで見ても見飽きることがないような素晴らしいものだった。それは図版では分からない体験だった。
今回のエゴン・シーレ展では風景画のみ撮影が許可されていた。それを紹介する。まあ、いろいろケチをつけたが、エゴン・シーレ展は何度も開催されることはなさそうなので、見に行くことは有意義だろう。
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2023年2月26日(木)-4月9日(日)
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ハローダイヤル050-5541-8600