山本弘の作品解説(113)「なだれ」



山本弘「なだれ」、油彩、F12号(天地60.6cm×左右50.0cm)

 

1978年制作。赤いなだれを描いている。なだれは雪崩と書いて雪の崩れだが、斜面を崩れ落ちること、崩壊することもなだれだ。画面の右下に小屋のような小さな家がある。切迫感のある赤色で描かれたなだれが小屋を襲っている。大きな斜面いっぱいに激しい勢いで土砂が崩れ落ちていて存在感の薄い小屋は大丈夫だろうか。その小屋こそ画家自身ではないか。この頃2年間断酒していた酒を再び飲み始めている。