筒井伸輔亡くなる

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 先月24日に筒井伸輔が亡くなったと朝日新聞に訃報が載っていた(2月29日付)。

 筒井伸輔さん(つつい・しんすけ=画家)24日、食道がんで死去。51歳。葬儀は近親者で営んだ。喪主は妻智子さん。
 父は作家の筒井康隆さん。12~13年、朝日新聞に連載された康隆さんの小説「聖痕」で挿絵を担当した。

 伸輔は武蔵野美術大学油画科を卒業し、しばしばミヅマアートギャラリーで個展を開いていたが、私が最初に見たのは30年近く前の当時銀座中央通りに面していた東京電力のプラスマイナスギャラリーだった。琥珀が昆虫を閉じ込めているような蜜蝋の作品を展示していた。筒井康隆朝日新聞に『聖痕』を連載したとき挿絵を担当したが、それは抽象的なもので、毎日掲載される新聞小説の挿絵としては失敗だった。絵にほとんど変化がなかった、というか、昨日の挿絵と今日の挿絵が区別できなかった。もちろん小説の内容とも全く関係がなかった。
 新聞の連載が終わったあとミヅマアートギャラリーで挿絵原画を展示した筒井伸輔個展が開かれた。私が見に行くと父親がいて、息子の展示を案内してくれた。大江健三郎がやはり息子の結婚式で招待客にビールを注いで回っていたと、息子の同僚が話していたエピソードを思い出した。
 伸輔は一人息子だという。お父さん、さぞ辛いことだろう。私も親友だった原和の自死を思い出してしまう。

 

聖痕 (新潮文庫)

聖痕 (新潮文庫)

  • 作者:筒井 康隆
  • 発売日: 2015/11/28
  • メディア: 文庫