銀座ニコンサロンの亀山亮写真展が興味深い


 銀座ニコンサロンの亀山亮写真展「AFRIKA WAR JOURNAL」がとても興味深い(5月7日まで)。本展は「第32回土門拳賞受賞作品展」と銘打たれている。
 亀山は1976年千葉県生まれ。96年より先住民の権利獲得運動を行なうサパティスタ民族解放軍など中南米の紛争地の撮影を始める。現在はアフリカの紛争地で集中的に撮影を行なっている。2003年パレスチナの写真でさがみはら写真新人賞、コニカフォトプレミオ特別賞を受賞。さらに今回土門拳賞を受賞するに至った。
 ニコンサロンのホームページに「写真展の内容」が紹介されている。

日本ではほとんど語られることがないコンゴ民主共和国では、第2次世界大戦後に起きた紛争としては最大の犠牲者(推計500万人以上)を出し続けている。コンゴ東部では金、ダイヤモンドやコンピューターや携帯電話などの生産に不可欠な希少金属の利益を巡る争いが、ベルギーの植民地時代を経て連綿と続いている。/為政者は利益の独占、支配体制を維持するために人為的に民族対立を煽り、住民たちは憎悪と暴力の連鎖に組み込まれていった。/現在、コンゴ東部には国連最大規模の平和維持軍が展開しているが、武装集団と統制を失った政府軍による住民への暴力は続く−−。/不条理で受け入れ難い状況の中、住民は見知らぬ作者を受け入れてくれた。彼らの優しさがなければ、決して撮影はできなかった。/誰にも知られることもなく葬られ続ける生命の断片に、写真を通じて多くの人が気づいてくれることを望んでいる。

 また、同じく「受賞理由」として、

受賞作の『AFRIKA WAR JOURNAL』は、コンゴリベリアブルンジなどアフリカ7カ国の紛争地に8年間通い続け、生と死の狭間で生きている人間の生々しい姿を描き出したモノクロ作品。
紛争が泥沼化するアフリカ諸国の殺戮と略奪が日常化した世界に入り込み、時間をかけ、卓越したフットワークと動物的な視点で、命の尊厳があっけなく葬り去られる、植民地時代から今も葬られ続ける生命の断片に光を当てた点が高く評価された。生きる場が「戦場」となっている人間の無力を捉えた作品は、ひとの「尊厳」を見事に描き出し、従来の紛争地でのドキュメント写真とは一線を画した方向性を示している。

 冒頭に掲げたDM葉書の写真のキャプションは、「カレラ精神病院にて 元兵士の従兄弟は頭にヒョウの毛皮を被り、大きなナイフで脅しながら私を木にしばりつけ服を剥ぎとりました。学校には一度も行ったことがありません。チャンスがあったら行ってみたいです。(アデューラ・マサシビ 12歳)」とあった。これでも最も痛ましくない写真なのだ。
 別の写真は、「夫を生きたまま切り裂き、切り取った肉を私に料理しろと強要した。目の前で家族全員をフツ系民兵に殺され私は拷問された。(アディア・ブミディア 36歳)」と書かれていた。また他の写真は、殺された兵士の遺体だったり、精神病院の患者だったり、マイマイ兵士たちというのもあった。マイマイ兵士というのは、村々を襲い、殺人、レイプ、略奪を行っている無秩序な集団だという。その連中も正面から撮っている。
 すさまじい世界を撮影してきた亀山亮は、たしかに土門拳賞に価するだろう。
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亀山亮写真展「AFRIKA WAR JOURNAL」
2013年4月24日(水)−5月7日(火)
10:30−18:30(最終日−15:00)
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銀座ニコンサロン
東京都中央区銀座7-10-1
電話03-5537-1469
http://www.nikon-image.com/activity/salon/


AFRIKA WAR JOURNAL (亀山亮写真集)

AFRIKA WAR JOURNAL (亀山亮写真集)