東京銀座の銀座ニコンサロンで梁丞佑写真展が開かれている(5月23日まで)。毎日新聞社主催の第36回土門拳賞受賞作作品展で、「新宿迷子」と題されているとおり、主に新宿歌舞伎町の夜の風俗を撮っている。梁丞佑は韓国人で1996年に来日し、2000年に日本写真芸術専門学校を卒業している。さらに2004年に東京工芸大学芸術学部写真学科を卒業し、2006年同大学院芸術学研究科メディアアート写真領域を修了している。現在フリー。
今回土門拳賞の受賞理由について、選考委員会のコメントがニコンサロンのホームページに掲載されている。
梁丞佑氏『新宿迷子』は新宿・歌舞伎町を「居場所」とする人々、またそこで起こった諍いを夜間に捉えたスナップ・ショットの集大成。モノクロで写し撮られた人々からは裸のままの人間らしい活気に溢れた姿が浮かび上がり、読者は街、人間のもつ強烈な「臭い」に引き込まれる。
展示されている写真を見てみる。
おそらく喧嘩をして倒れている男がいて、傍に警官と思われる男たちが立っている。顔は血だらけだ。
布団を敷いた部屋で大金を数えている男。梁によれば不法滞在の外国人たちを使っている会社の社長で、大量の現金は労働者たちの給料だという。
救急隊員に運ばれる少女。
裸の胸を見せている女(実はオカマ)。
ほとんど裸で客の腿に座ってあやしいサービスをしている女たち(彼女たちもオカマ)。
ホームレスの子供。(親がホームレスの意)。
このような驚くべきスナップショットが並んでいる。なるほどこれなら土門拳賞にふさわしいだろう。40年ほど前に撮られた倉田精二の、やはり夜の新宿歌舞伎町を撮った写真集を思い出した。
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梁丞佑写真展「新宿迷子」
2017年5月10日(水)−5月23日(火)
10:30―18:30(最終日は15:00まで)
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銀座ニコンサロン
東京都中央区銀座7-10-1
電話03-5537-1469
http://www.nikon-image.com/activity/salon/