銀座ニコンサロンの石川直樹写真展


 銀座ニコンサロンで石川直樹写真展「やがてわたしがいる場所にも草が生い茂る」が開かれている(3月6日まで)。石川は1977年東京生まれ、2008年東京芸術大学大学院美術研究科博士後期課程を修了している。2008年写真協会新人賞・講談社出版文化賞、2011年土門拳賞など、数々の賞を受賞している。
 石川は東日本大震災の2日後に物資を持って被災地へ行くことを決めた。

青森の三沢空港から八戸に入り、太平洋沿岸を車で南下した。瓦礫の山が道を塞いでいるため、行けるところまで行って、あとはただ歩くしかなかった。雨に打たれながら、雪に足をとられながら、砂塵に巻かれながら、荒野と化した被災地を歩いていると、あらゆる感情がこみあげてくる。
迂回を繰り返しながら岩手の宮古まで南下し、雪に覆われた山を下って壊滅した海辺の街の風景が視界に飛び込んできたときのことは、今でも忘れることができない。あれから一年が経ち、雪は溶け、街は家の土台を残して、更地になった。
世界はそこに在り続ける。たとえ自分が死んでも世界はそこに在る。言葉が追いつけない涯ての風景を留められるのは、写真しかない。

 ニコンサロンは、東日本大震災により被災した地域の復興に寄与するために「写真の力で復興支援」をスローガンにさまざまな活動を実施しているという。その一環として、ニコンサロン連続企画展「Remembrance 3.11」を予定している。石川直樹写真展はその第1回めだ。第2回目以降は、
■銀座ニコンサロン
・笹岡啓子写真展「Difference 3.11」
 3月7日(水)−3月13日(火)
・新井卓写真展「Here and There−明日の島」
 3月14日(水)−3月20日(火)
・吉野正起写真展「道路 2011−岩手・宮城・福島−」
 3月21日(水)−3月27日(火)
■新宿ニコンサロン
・和田直樹写真展「惨禍−三陸沿岸部の定点記録−」
 2月28日(火)−3月5日(月)
・田代一倫写真展「はまゆりの頃に」
 3月6日(火)−3月12日(月)
・鷲尾和彦写真展「遠い水平線」
 3月13日(火)−3月19日(月)
・宍戸清孝写真展「Home」
 3月20日(火)−3月26日(月)
 これに伴ってニコンサロンでは数回の連続シンポジウムも企画されている。詳しくはニコンサロンのホームページを参照されたい。
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石川直樹写真展「やがてわたしがいる場所にも草が生い茂る」
2012年2月29日(水)−3月6日(火)
10:30−18:30(最終日は15:00まで)
       
銀座ニコンサロン
東京都中央区銀座7-10-1
電話03-5537-1469
http://www.nikon-image.com/activity/salon/