神田日勝生誕75年記念展が開かれる


 神田日勝記念美術館の開館20周年を記念して、同館で神田日勝・浅野修生誕75年記念展が開かれる。神田は1937年、東京都練馬区生まれ。8歳のとき北海道へ移住して定住し、農業をしながら独学で油絵を学んでいたが、1970年、32歳で亡くなった。
 私はこの画家のことを北海道立近代美術館編の『絵画入門 子どもと親の美術館』(新潮社とんぼの本)で知った。そこに掲載されていたのが次の「室内風景」という絵だ。亡くなる年に描かれている。

 本の解説にこうあった。

人形も時計も紙袋も、みんな細かく描きこまれていますが、どこにもかげが見当たらないのが、どこか不思議なこの絵の秘密です。どれもこの部屋に置かれているようにもみえるし、あるいは画面にはりついているようにもみえます。

 展覧会のちらしの真ん中の右側に、黄色いバックに半身を描いた黒い馬の絵がある。これは神田日勝記念美術館のシンボルマークにもなっているが、神田は予め全体をドローイングするのではなく、直接最初の頭から描き始めたようなのだ。途中で終わっているのは、神田が描きかけで亡くなったからだ。一度実物を見てみたいと思っていたが、神田日勝記念美術館は北海道河東郡鹿追町にあり、帯広空港から50分もかかるという。遠いので行くことができない。神田は練馬区出身なので、練馬区美術館で「練馬の美術」として個展を企画してもらえないだろうか。
 神田の「室内風景」が掲載されている『絵画入門 子どもと親の美術館』(新潮社とんぼの本)は、ストライクゾーンが狭いせいか、すでに絶版で「とんぼの本」のカタログにも載っていない。「絵を組み立てているもの」「絵の中の遠近と明暗」「絵のつたえるもの」「学ぶ・つくる」等、なかなかおもしろい内容になっている。そして作品も、ジオットからモナリザセザンヌ、古径、シケイロス雪舟ピカソ、スーラ、マグリットワイエス、上田薫、深井克美、ミロ、難波田龍起、菅井汲と多彩なのだ。ただ大きな欠点が一つある。画家の索引がないことだ。年代順に並べられているわけではないので、画家を検索するのに大変不便だ。私は手書きの索引を作って綴じている。

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神田日勝・浅野修生誕75年記念展
2013年4月23日(火)→5月26日(日)
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神田日勝記念美術館
北海道河東郡鹿追町3-2
電話0156-66-1555
http://kandanissho.com/


絵画入門 子どもと親の美術館 (とんぼの本)

絵画入門 子どもと親の美術館 (とんぼの本)