東京京橋のギャラリイKで竹中優香展「near equal not equal」が開かれている(11月8日まで)。竹中は1991年横浜市生まれ。2014年に多摩美術大学彫刻学科を卒業し、現在同大学大学院美術研究科彫刻専攻在学中。個展は今回が初めてになる。
本展は毎年多摩美術大学彫刻学科研究室がが主催して、大学院生の中から優秀な学生を選抜し、個展を企画するプロジェクトだ。さすが毎年優れた作家が選ばれている。
今年の竹中もその期待に十分答えている。作品はスポンジを食紅で着色し、テグスで縛りあげた立体。2点が展示されており、床に置かれたものは大きく、高さが2メートル近くある。もう1点は壁面に設置されている。
食紅で薄く着色された色彩と相まって、スポンジの形態が有機的な印象を与える。スポンジが作る柔らかな曲線がわずかに人の肉体を連想させながら、即座にスポンジの質感がそれを強く打ち消している。ちょっとしたアンビバレンツが体感できるようだ。
作家の書いたテキストを読む。
人とひとの間には境界がある。皮膚、感情、場所、空気、私たちの間にあるものは何だろう、/その存在は取り払うことが可能なのだろうか。私は境界に形を与え視覚化することで他者との関わりを作る。
すると、これは人のアナロジーなのだろうか。テグスで縛られ広がっていくことができないスポンジの形は、境界に取り囲まれている一種束縛された存在を示しているのだろうか。
しかし、そんな意味を探らなくても、作品は造形的に美しい。一人の優れた立体作家の誕生を喜びたい。
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武内優香展「near equal not equal」
2014年10月27日(月)−11月8日(土)
11:30−19:00(土曜日17:00まで)日曜日休廊
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ギャラリイK
東京都中央区京橋3-9-7 京橋ポイントビル4階
電話03-3563-4578
http://homepage3.nifty.com/galleryk