カート・ヴォネガット『国のない男』を読む

 カート・ヴォネガット『国のない男』(中公文庫)を読む。アメリカのSF作家の現代文明批判の書である。ヴォネガットは『猫のゆりかご』、『スローターハウス5』、『タイタンの妖女』などを書いてきた。あまりアメリカのSFが好きでなかった私だが、ヴォネガットとフィリップ・K. ディックは好きだった。

 ヴォネガットの言葉。

アラブ人はばかだって?

アラビア数字を発明したのは彼らだ。

一度、ローマ数字で

長々しい割り算をやってみるがいい。

 

 そして訳者あとがきで『ハイスクールUSA』(長谷川町蔵山崎まどか著/国書刊行会)から引用して、

 思春期とイノセンスの喪失について描いた、アメリカ文学者といえばサリンジャー……なのだが、学園映画ではサリンジャーよりも圧倒的に、カート・ヴォネガット、『ライ麦畑』より『スローターハウス5』への支持が強い。

 

 さらにそのあとがきに紹介されているヴォネガットの言葉の抜粋。

 うちの大統領はクリスチャンだって? アドルフ・ヒトラーもそうだった。

 

「進化」なんてくそくらえ、というのがわたしの意見だ。人間というのは、何かの間違いなのだ。われわれは、この銀河系で唯一の生命あふれるすばらしい惑星をぼろぼろにしてしまった。

 

じつは、誰も認めようとしないが、われわれは全員、化石燃料中毒なのだ。そして現在、ドラッグを絶たれる寸前の中毒患者のように、われわれの指導者たちは暴力的犯罪を犯している。それはわれわれが頼っている、なけなしのドラッグを手に入れるためなのだ。