
山本弘(題不詳)、油彩、F10号(天地45.5cm×左右53.0cm)
制作年不明。何が描かれているかも分からなかった。左側に縦書きで「ヒロシ」のサインが大きく書かれている。晩年は「弘」のサインが多かったが、時々「ヒロシ」のサインも見受けられる。どう書き分けていたのかは分からない。ただ、このサインが大きいことから、描き終わったとき、気持ちが高揚していたのではないか、作品に満足していたのではないかと推測した。
今年10月のギャラリー檜Cでの山本弘遺作展の際、解剖図をテーマにしている画家から、これは人よ、両手を振っているじゃないと指摘された。そういわれて見ると、両手を振って左方向へ走っている人に見える。頭は画面の上部にはみ出していてトルソのようだ。中心に描かれた不定形の丸いものは内臓だろうか。肺に挟まれた心臓と下部は肝臓のようにも見える。
山本弘には「にわか雨」と題した単純なひと形が駆けている作品もあった。本作が走っている人を描いたものでも不思議はない。健康を害していたから内臓への関心も高かっただろう。
ほとんど内臓そのものである人が細い手を振って駆けている。そんな絵に見えてきた。