チェン・カイコー「私の紅衛兵時代」の読書会に参加した

私の紅衛兵時代-ある映画監督の青春 (講談社現代新書)
 読書会なるものに参加した。思うに50年ぶりだ。50年前は村の社会教育主事青年団員を集めて「空想から科学へ」の読書会を企画したのに参加したことがある。その社会教育主事は「赤い」ということで左遷され、村の小中学校の図書館司書にされた。その後中央大学へ移り、後に教授になった。一度だけ議論をしたが、左翼の議論の仕方を知らされた。
 さて今回はチェン・カイコー「私の紅衛兵時代」(講談社現代新書)だ。17年前に発行されてその後長く絶版だったが去年再刊された。懐かしい本だ。六本木にWAVEというセゾン系のCDショップをメインとしたビルができ、その地下にシネ・ヴィヴァンという映画館が作られた。なかなか意欲的なプログラムを企画してくれた。ゴダールの「パッション」、監督は忘れたが「コニヤスカッティ」、アラン・レネの「メロ」、タルコフスキーの「ノスタルジア」、ルイ・マルの「さよなら子供たち」、エリック・ロメールの「5月のミル」、そこで「子供たちの王様」という映画を見た。その監督がチェン・カイコーだった。私にとって衝撃的な映画だった。文化大革命下放された青年が雲南省の山村にやってくる。毛沢東の、学生は農民に学べという方針を実施したものだ。青年は中学に行っていたという学歴で小学校の教師にされる。不合理な施策が実施される。
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 この映画を見て始めて中国の文化革命に疑問を持った。文化革命に関するたくさんの本を読んだ。毛沢東の大きな過ちを知った。私は祖父の影響で幼い頃から中国の日本向けPR誌「人民中国」の子供向け付録を読まされていた。ヤンツーチャン(揚子江)やホワンホウ(黄河)、マオ・ツェートン(毛沢東)などの呼び方を知っていた。毛沢東は私にとって尊敬すべき人物だった。ゴダールだって映画「パッション」の中で、「毛沢東は偉大な料理人だ、何億の人民を食べさせている」と言っていた。嘘だった。何百万人もの農民を餓死させていた。ひどい政治家だった。ヒトラースターリンと並ぶ20世紀の極悪人だった。
 「子供たちの王様」はとても良い映画だったが、この監督の他の作品をまだ見ていない。制作年代順に「黄色い大地」「大閲兵」「子供たちの王様」「人生は琴の弦のように」「さらば、わが愛/覇王別姫」「花の影」「始皇帝暗殺」「キリング・ミー・ソフトリー」「北京ヴァイオリン」「PROMISE」となるが、読書会参加者たちの意見が分かれた。初期がいいと言う人たちと、後期がいいと言う人たち。ビデオか何かで見てみよう。
 読書会のテーマ「私の紅衛兵時代」は、ほとんどの出席者に好評だった。