原稿料の推測


 朝日新聞益田ミリが「オトナになった女子たちへ」というコラムを連載している。月に2回ほど掲載されるのだろうか。縦4段組み、左右が12センチくらいで自筆のイラストが入っている。先に読んだ中野翠の映画に関するエッセイ同様ゆるい文章だが。益田のこの原稿料を推測してみる。
 私の推理は1回の原稿料が税込15万円というものだ。自信はあまりない。その根拠は、以前『ナニワ金融道』の漫画家青木雄二朝日新聞にイラスト付きエッセイを短期連載していたことがあって、自分は金にまつわることをテーマにしているからこの原稿料も公開すると言って10万円だと書いていた。ちょうど益田の連載エッセイの2/3程度の分量だった。
 だいぶ前になるが井上ひさし朝日新聞の小説時評を担当していたことがあった。当時は前編後編の2回続きだった。井上はそれを熱心にこなし、時評のために購入する本代が毎月100万円にもなって、時評の原稿料で本代が賄いきれないとこれは他の人が書いているのを読んだことがあった。2回で80万円として1回分が40万円となる。
 大江健三郎も以前朝日新聞の夕刊に毎月エッセイを連載していたことがあった。のちに『定義集』として単行本にまとめられた。大江夫人が朝日の連載で生活費が助かっていると、これも何かで読んだことがあった。知名度と内容の濃さから、また生活費が助かるということからすれば50万円くらいだろう。
 以上の3つのわずかな事例から、知名度、文章のゆるさなどから15万円と推測した次第だ。
 大江はノーベル賞を受賞したとき、ノーベル賞受賞者に必ず与えられる文化勲章を辞退した。もしもらっておけば、年額350万円の年金が授与されたのに。山口昌男は晩年文化功労者に選ばれて、文化勲章と同額の年金を大変喜んでいたという。
 文化勲章はたいてい相当な年齢にならないと授与されることがない。高額の年金をもらうようになっても、長年もらい続ける例は少ないようだ。ただノーベル賞受賞者が若ければ、以後亡くなるまで年金が保障されるのだ。