日経トップリーダー編・構成『なぜ倒産』を読む

 日経トップリーダー編集・構成『なぜ倒産』(日経BP社)を読む。副題が「23社の破綻に学ぶ失敗の法則」とあり、表紙に協力として帝国データバンク東京商工リサーチの名前がある。倒産した中小企業について、帝国データバンク東京商工リサーチのデータをもとに雑誌『日経トップリーダー』の編集部が分析したもので、23社はすべて実名だが、社長名は仮名となっている。
 帝国データバンク東京商工リサーチのデータを分析し、さらに社長へのインタビューを求めているが1社を除いて拒否されている。
 直営店とフランチャイズを含めて80店舗以上を展開し、25億円以上の売り上げを誇っていたピザチェーンは人材育成が追い付かず破産した。
 寝具の新商品で当てた寝具メーカーは一時50億円以上売り上げたが、得た利益を多額の設備投資に充て、需要の一巡後は売り上げが伸びなかった。
 DVD制作で韓流ブームに乗って26億円の売り上げを達成したが、ブームが去り大手の参入もあって資金繰りも行き詰った。
 等々具体的な事例が紹介されていてなかなか参考になるが、当事者の話を聞くことができなくて今一詳しいことが分からない。せっかくの分析がやや皮相なものに終わっている。倒産一般ではなく、具体的な事例が描かれているということで評判が良かったようだが、もう一歩踏み込んだ内容だったらと少々物足りなかった。