『「仮想通貨」の衝撃』がまあまあ面白かった

 エドワード・カストロノヴァ『「仮想通貨」の衝撃』(角川EPUB選書)がまあまあ面白かった。仮想通貨といえば、しばらく前にネットを通じて莫大な資産が盗み取られたビットコインの事件を思い出す。ビットコインの位置づけを知りたくて本書を読み始めた。
 本種でもビットコインは少し触れられているが、本書が書かれたのが事件前だったらしく、主題は別だった。仮想通貨がビットコインのように徐々に現実化しているのかと思っていたら、航空会社の「マイル」も私企業が発行している仮想通貨の一種だという。日本でいえば、コンビニなどで使われているTカードとか、SUICAなどに付いてくるポイントも同じだという。規模において政府発行の通貨とは比べ物にならないが、確実に利用されている。そして仮想通貨は合法なのだった。
 しかし、本書の問題とする一番の仮想通貨はゲームで使われているポイントのことだった。それも現実世界で換金できるものがあるという。そのことが繰り返し語られている。仮想通貨を利用したときの税金面での処理やマネーロンダリングに利用される可能性などを論じている。
 このゲームで使われるポイントが主要な仮想通貨の問題として語られているのだが、ゲームをしたことがないので半分以上ちんぷんかんぷんだった。仮想通貨という問題は想像以上に重要で面白いテーマらしいので、誰か日本に即してやさしく解き明かしてはもらえないだろうか。新書本のテーマとしてちょうどよいのではないか。
 仮想通貨がテーマの本ではあるが、実は通貨そのものが本書の大きなテーマでもあった。通貨がなぜ通貨として流通するのか、通貨の根拠は、などを説明していくと、仮想通貨がなにも特殊なものではないことが分かってくるのだった。




「仮想通貨」の衝撃 (角川EPUB選書)

「仮想通貨」の衝撃 (角川EPUB選書)