ノイバラが咲いている

f:id:mmpolo:20210511205518j:plain

f:id:mmpolo:20210511205534j:plain

 

  JR総武線亀戸駅前の植え込みにノイバラが咲いている。ノイバラは野生種の地味なバラで、普通わざわざ植栽されることはない。ましてや、駅前の植え込みは専門の業者が管理しているだろう。なぜにわざわざこんな一等地に野生のバラなんかを植えているのか。

 もう10年以上前、同じような状況を見て推測したことがあった。JR飯田線市田駅のホームに大きなノイバラの株があって白い花が満開だった。わざわざノイバラを植えるとも思えないのになぜか?

 おそらくどちらの事例も元々は華やかな園芸種のバラを植えたのに違いない。市田駅ではバラ好きの駅員が植えたのに転勤に伴ってその後手入れをする者がいなかった。亀戸駅前は業者が植えたのに、経費の関係でその後丁寧な管理を怠っている。園芸種のバラはしばしばノイバラの台木に接ぎ木をして栽培され、その苗が販売されている。ノイバラは強いので、台木から直接ひこばえが生えることがある。そのひこばえを掻き取らないと、園芸種を抑えてひこばえが成長する。やがて園芸種は衰えて台木のノイバラにとって代わられる。その結果が市田駅のホームであったり、亀戸駅前の植え込みとなるのだ。

 ノイバラを歓迎するのは二つの人種に限られる。新しいバラの育種を趣味にしている人と、盆栽を作ろうとしている人だ。バラの育種家にとってノイバラは大事な台木だし、盆栽にするには地味な野生種の方が好ましい。

 バラの育種を趣味にしていた武蔵野バラ会の理事をしていた世田谷のWさんのお宅にも大きなノイバラの株があった。