『孤独のグルメ2』を読む

 久住昌之・原作+谷口ジロー・作画『孤独のグルメ2』(扶桑社)を読む。以前『孤独のグルメ』を読んでその紹介をしたのが今年の4月だった。今回の『孤独のグルメ2』には、『週刊SPA!』2009年6月9日号に掲載された静岡市の汁おでんから、2015年5月19日号のフランス・パリのアルジェリア料理まで、13話が載っている。
 仕事で訪れた各地の食べ物屋の料理を紹介するというとても地味な内容なのに、淡々とした語り口とグルメっぽくない料理の選択や評価が何か好ましい印象を受ける。主人公はいつも一人で食事をするし、常連の店では決してないこともあり、また酒を飲まないという設定なので、深い人間関係は全く書かれない。だからドラマチックな展開は最初からないのに、紹介される店の雰囲気や垣間見る店の主人のたたずまいなどがそこそこ興味深く示される。料理の紹介も適度に詳しく、濃いファンの存在も不思議ではないだろう。
 いつもほとんど事件はないのに、第4話「東京都三鷹市下連雀のお茶漬けの味」でアクションシーンが描かれる。居合わせたサラリーマングループの上司が飲めないからと嫌がる部下に酒を強要しているのを見て主人公ゴローさんが注意し、それに腹を立てた上司が喧嘩を売って来たのをアームロックで投げ飛ばすシーンがあった。
 さて、第2話「東京都新宿区信濃町のペルー料理」の章で、冒頭ギャラリーが登場する。

どうもなあ
取引先の義理で来てみたけど……


ギャラリーってやつはなんとも居心地が悪い




 え、ここ知ってる。左門町のアートコンプレックスセンターだ。ビル全体がギャラリーという贅沢な施設で、2階にギャラリースペースが5つくらいある。ときに地下も展示場として使って、その時は都内でも有数の広いスペースが現れる。ただ場所的にJR信濃町駅と地下鉄四谷三丁目駅の中間くらいで、どちらの駅からも徒歩10分くらい、アクセスが良いとは言えない。またファインアート系の展示は少なく、アニメっぽい作品や、イラスト系の作品の展示が多い。しかし、ときに意欲的な作家の個展も開かれるので、時々のぞきに来ている。
 信濃町からのアクセスは、駅前の交差点を渡ると慶応大学病院があり、右折して四谷三丁目駅方向に歩く。しばらく進んで工事中の先の路地を左に曲がると文学座のアトリエがある。ここで開催される文学座のアトリエ公演は安価で実験的なものが多い。この路地の一つ手前の路地を左折したところに、ペルー料理店があるようだ。アートコンプレックスセンターは文学座アトリエの路地を通り過ぎてしばらく行くと左門町の信号があり、ここを左折して300メートルくらいか。注意しないといけないのは左門町の信号(小さな交差点)は近接して2つもあり、信濃町寄りの左門町を左折すること。
 『孤独のグルメ2』の紹介のつもりが、アートコンプレックスセンターの紹介になてしまった。

孤独のグルメ2

孤独のグルメ2