内田春菊『私たちは繁殖している 16』を読む

 内田春菊『私たちは繁殖している 16』(ぶんか社)を読む。この16巻は自分のがん体験を描いているとあったので読むことにした。内田は大腸がんと診断され、抗がん剤治療を受け、5時間の手術ののち人工肛門を増設した。元からあった肛門は手術で閉じ、左わき腹に人工肛門が作られた。肛門を閉じるってどんなになるんだろう?

 でもそれ以上の詳しいことは描かれていない。そもそも208ページのうち、182ページまではガンとは無関係の日常が描かれた私小説マンガで、息子や娘たちとのどうということのない生活が描かれている。特に事件とかドラマティックなことなどなく、わざわざマンガに描くほどの内容はない。

 そういえば、西原理恵子の「毎日かあさん」も家族の日常を描いていた。売れっ子漫画家が連載を持ったとき、ネタが追い付かなくて安易に私小説マンガに逃げるのだろうか。

 最後に「これからがん話連載してまた本にする予定」とあったが、もう内田春菊はいいやという気分になった。