S+artsのさとう陽子展「愛でる」を見る

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DMはがき


  東京六本木のS+artsでさとう陽子展「愛でる」が開かれている(10月11日まで)。さとうは1958年東京生まれ。1981年に日本大学芸術学部美術学科を卒業している。1986年から毎年様々なギャラリーで個展を開いて活発に活動している。

 ギャラリーのホームページから、

本展タイトル「愛でる」とは、日本人独特の美意識とも言える、奥の深い言葉です。こしらえとしての生け花や掛け軸、のちに民画や民 藝と呼ばれるようになる品々や他調度品等、人々はそれらを親(ちか)しく感じ素朴に愛でてきました。西洋文化圏の歴史の中で組み立 てられ論理的に位置づけられてきた美術という概念が入ってくる以前から、日本人の美意識は生活の中に根付いていたのです。しかしながら、現在私たちは美術の概念と美意識とをごちゃ混ぜにしたまま作品を作り鑑賞し続けている、とさとうは語ります。そこには、 美意識だけでは西洋美術のように生きていく(実存)の問題に対応できないという考え方が含まれているからだとも見受けられますが、 もともと自分たちの持つ美意識を相対的に位置づけることが出来ていないためなのではないか、とさとうは考えるのです。

「私は日常の中で愛でられる作品をつくる。 そしてその作品が生きていくことに静かに力を添えるものになる仕事をしたい。」

そう語るさとう陽子の言葉からは、日本人が古くより培ってきた美意識に響くような人々に親しいものになるように、という彼女の作 品への願いが込められているようにも感じられます。理屈ではなく、自身の様々な感覚に重きを置くことで成されるさとうの作品が 求める「愛でる」を考える時、鑑賞者も自身の美意識を再確認する機会にもなり得るのではないでしょうか。これを機に、本新作展を 是非ご高覧くださいますようお願い申し上げます。

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 昨年のnohakoでの個展に際して次のように書いた。

 ゲシュタルトでいう図と地をさとうの絵画に当てはめてみると、図と地で成り立っているように見えて、その地がさらに下位の地に対して図となっているように見える。地の複層性というか図の複層性というか、今風に言えばレイヤー構造をなしていると言ってもいいかもしれない。複雑な構造とマチエールの特異さがさとうの特徴ではないだろうか。

 なお、s+artsは以前Shonandaiギャラリーといっていたのが改名したもの。オーナーが親から娘たちに移ったが場所は変わらない。

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さとう陽子展「愛でる」

2020年10月2日(金)-10月11日(日)

12:00-19:00(最終日17:00まで)会期中無休

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s+arts

東京都港区六本木7-6-5 六本木栄ビル3階

電話03-3403-0103

http://www.splusarts.com