s+artsのさとう陽子展を見る

 東京六本木のs+artsでさとう陽子展「むぼう日」が開かれている(4月26日まで)。さとう陽子は東京生まれ。1981年に日本大学芸術学部美術学科を卒業している。1986年から毎年様々なギャラリーで個展を開いて活発に活動している。

 ギャラリーのホームページよりさとうのことば、

「私たちは無防備ではいられない日常を送っている。

 押し寄せる情報。損得、勝敗に価値を置くコスパ、タイパの社会。

そして戦争、紛争、自然災害の世界。常に身構えなければならない。

無防備であることはもはや無謀なことなのだ。

皆疲れ切っている。 生きようとすることは創造的なことのはずなのに。

 だから一回無謀に無防備になってみる。試しでもいいから。

それで一分一秒を生き延びられるかもしれないから。

それはきっと創造的なことだから。」--- さとう陽子

 

 以前、私はさとうの作品について次のように書いた。

 ゲシュタルトでいう図と地をさとうの絵画に当てはめてみると、図と地で成り立っているように見えて、その地がさらに下位の地に対して図となっているように見える。地の複層性というか図の複層性というか、今風に言えばレイヤー構造をなしていると言ってもいいかもしれない。複雑な構造とマチエールの特異さがさとうの特徴だろう。中心がないことでどこかオールオーバーにも近く、またそれを否定しているようにも見える。さとうの絵画は安易な定義を拒んでいる。それが魅力とも言えるのではないか。

※上の作品の部分



 その複雑なさとうの作品が完成度を増している。完成度と言ったが、一層美しさを増している。ところが、さとうは、私そんな完成度は気にしないのよと言わんばかりに、とんがった作品も並べている。梱包に使うような茶色の紙を画面に貼りこんだり、薄く地紋だけしか描き込んでいないような作品を提示したりしている。

 さとうを簡単に理解しようとすると、するりと抜けてしまう。吉本隆明の詩を思い出す。「理解はいつも侮蔑の眼ざしににている」。ただ、さとうの造形にひたっているのが正解なのだろう。

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さとう陽子展「むぼう日」

2025年4月11日(金)-4月26日(土)

12:00-19:00(最終日は17:00まで)日・月・火曜休廊

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s+arts

東京都港区六本木7-6-5 六本木栄ビル3階

電話03-3403-0103

http://www.splusarts.com

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