読売新聞年末恒例の読書委員20人の「2021年の3冊」が発表された(12月26日)。そこから、気になったものを拾ってみた。
橋本倫史推薦
岸政彦編『東京の生活史』(筑摩書房、4620円)
150人の聞き手が、150人の生活史を静かに聞き取った1216頁の大著。年末年始は、誰かの人生に思いを巡らせ過ごしたい。
これは朝日新聞の「今年の3点」でも、トミヤマユキコが推薦していた。面白そうだが、ボリュームが問題だ。
仲野徹推薦
最相葉月著『辛口サイショーの人生案内DX』(ミシマ社、1650円)
読売新聞の読者にはお馴染みの最相葉月さんの人生案内。DXはデラックスの略です、念のため。
尾崎真理子推薦
平林俊彦著『言葉たちに 戦後詩私史』(港の人、2420円)
1924年生まれの詩人による、詩と回想の散文。重みのあまり、すぐには書評を書けなかった。表題詩の最後を紹介する。〈行く手に待つ死者たちにおくる/いとおしい一度かぎりの言葉はあるか〉
川野里子編『葛原妙子歌集』(書肆侃侃房、2200円)
不世出の昭和の歌人。今後はこうした未知の世界をひもといてみたい。