東京銀座2丁目のギャラリー零∞(zero hachi)で吉田理沙展「a little vanishment」が開かれている(10月13日まで)。吉田は1985年東京都生まれ、現在多摩美術大学大学院彫刻科2年に在学中。
作品は既成のコンクリート板を小片の矩形に切断し、着色して並べている。写真でほぼすべてだが、全部の重量は500kgもあるという。
色彩は赤と黄、黄と青、赤と青の組み合わせで、外枠の色と内側の色の反転もある。コンクリートの小片は立てたり斜めに置いたりして変化をつけている。
奥には映像の展示もあった。それがDMハガキになっている。網目に水をかけて水滴を作り、何度も繰り返してそれを映像にしている。
吉田は昨年のギャラリー檜B・Cでのグループ展ではコンクリート板に人型をプリントした作品を出品していた。人型を切り抜いてコンクリートに貼り、透明樹脂を塗ってのちに人型を剥がしたという。コンクリートを選んだのは堅牢であり可塑性もあるからだという。今回の作品はそのコンクリートの表面の美しさに気づいたのがきっかけらしい。
しかしコンクリートそのままでは作品になりにくいと考えたようで、着色し切断して並べている。ただ今回のこの床の展示は成功していないように思う。一方、水滴の映像作品はおもしろかった。
これら二つの表現は一見別々のもののように思える。しかしどちらも既存のもの(市販のコンクリート板と網目の水滴)を利用し、それらを少し加工して作品にしている。既存のもの(製品)にわずかに手を加えてそれを独自の作品にしようとしているところに興味を持ったのだった。吉田の制作の姿勢、方向性はかなり有効ではないのか。来年に予定しているという個展を今から楽しみにしたい。
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吉田理沙展「a little vanishment」
2011年9月30日(金)〜10月13日(木)
11:00〜19:00(日曜は〜18:00、最終日は〜16:00)
会期中無休
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ギャラリー零∞(zero hachi)
東京都中央区銀座2-2-8 西欧ビル8F
http://zero8.jimdo.com
JR有楽町駅京橋口、東京メトロ銀座一丁目駅4番出口、同銀座駅C9出口
有楽橋交差点と銀座東急ハンズの中間地点
スパンアートギャラリーのビルの8階