ギャラリイKの「表現される現在2011−ゼロイスト3.11」での石川雷太と宇留野隆雄

 ギャラリイKで開かれている「表現される現在2011−ゼロイスト3.11」という企画展は、企画・主催がTSA ANNUAL 2011実行委員会となっている。これは斎藤義重が校長をつとめた東京芸術専門学校(TSA)の卒業生有志によって企画されているグループ展で、もう十数回続いている。今回9人が参加しているが、そのうち石川雷太と宇留野隆雄を紹介する。

放射性廃棄物」と書かれたドラム缶が石川の作品で、麻布の袋で作られた着ぐるみが宇留野の作品だ。ドラム缶の上部には黒いボードに文字が書かれている。

原子力発電は潜在的核抑止力である。
力への意思は生命を基準にはしない。
絶対的強度はそれ自体が既に美しい。

 ドラム缶の下部には「東京電力福島第一原子力発電所」と書かれている。作品タイトルは「核と原発の根本原理」。そのテキストより、

原子力発電は兵器である。原子力発電でウランを燃やした使用済み核燃料からプルトニウムを抽出することができる。プルトニウム原子爆弾の材料でもある。現在日本のプルトニウム保有量は45トン、これは既に原子爆弾数千発分で、日本のロケット技術を駆使すればいつでも大陸間弾道ミサイルを作ることができる。この事実が日本の外交上の潜在的核抑止力として機能している。「原子力の平和利用」とは電力だけの問題ではない。日本の原子力政策が国際的な軍事パワーバランスを安定させ、〈世界平和〉に貢献しているのである。これが我が国の原子力推進のもうひとつの論拠だ。3.11以後、私たちは原発に対して何を為すべきなのだろう?

 これは本当だろうか?
 さてもうひとり、宇留野はいつもこの着ぐるみを着用して鑑賞者に質問をするパフォーマンスを行っている。作品タイトルが「質問があります」。質問は多く社会的な問題だ。このような行為においてしか日常ではありえない真面目な問答をしかけてくる。今回の着ぐるみの模様は福島の放射能濃度を表したホットスポットをデザインしているという。ただ、今回のようなグループ展では宇留野が着ぐるみの中に入っていることはなく、質問もしてこない。
 宇留野の足元から右に続いている赤いものはトマトを樹脂で固めたもので、小島昇の作品だ。
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「表現される現在2011−ゼロイスト3.11」
2011年10月17日(月)〜10月29日(土)
11:00〜19:00(土曜日〜17:00)日曜休み
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ギャラリイK
東京都中央区京橋3-9-7 京橋ポイントビル4F
電話03-3563-4578
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