コバヤシ画廊の福濱美志保展を見る

 東京銀座のコバヤシ画廊で福濱美志保展が開かれている(8月5日まで)。本展は「画廊からの発言 新世代への視点2023」の一環。福濱は1992年東京生まれ、2017年に武蔵野美術大学造形学部油絵学科油絵専攻を卒業している。2018年にcafé*lampで初個展、その後「FACE展2021」に入選している。

 福濱の言葉。

手のひらに乗るような小さいモチーフを風景に見立て、大画面に引き延ばす油彩作品《Grandscape》シリーズを軸に制作している。現実には存在し得ないような色味や質感になっている一方で、ある特定の風景を模している部分もある。郷愁を感じさせる静謐な空間を、油彩特有の物質的なリアリティと共に描き出す。


 福濱は野外などに建築模型で使うごく小さな人形を置いて、それを写実的に描いている。写実的でありながら、現実にはあり得ない情景で、シュールレアリスムに通じるような画面を作っていて面白い。人形が小さいので背景になっている雑草は極めて拡大されて、あたかも密林の繁みのような様相を呈している。あるいは室内に人形を置いた作品では、不思議の国のアリスを思わせる情景を作っている。シュールレアリスムに不可欠の描写力も確かで、この後どのように展開するのかも楽しみだ。

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福濱美志保展

2023年7月24日(月)-8月5日(土)

11:30-19:00(最終日17:00まで)日曜休廊

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コバヤシ画廊

東京都中央区銀座3-8-12 ヤマトビルB1

電話03-3561-0515

http://www.gallerykobayashi.jp/