ギャラリー58の中内亜由美展を見る

 東京銀座のギャラリー58で中内亜由美展が開かれている(8月5日まで)。本展は7つの画廊が共同企画している「画廊からの発言 新世代への視点2023」のひとつ。中内は1985年福井県生まれ、2009年に福井大学教育地域科学部を卒業し、2011年に金沢美術工芸大学大学院美術工芸研究科修士課程デザイン専攻視覚デザインコースを修了している。

 2019年からギャラリー58で個展を続けている。中内の言葉。

ふとかすかな存在に気付いて対象に近づくと、思いがけず豊かな世界を見ることがある。無限の現象の中、わずかな質量で私の目に留まるのはどういう理由だろうか。拡散し続ける世界の中に、かすかだが確かにある存在感の表現を模索している。


 画廊には細くて微かに見えるくらいの糸が張られている。中央部分が横糸と経糸で粗く織られている。とても繊細な作品だ。「ふとかすかな存在に気付いて対象に近づくと、思いがけず豊かな世界を見る」の言葉通りの世界がそこにある。(写真は糸を強調して見やすくしている)。

 こんな風な微かな世界を掬い取って提示するという価値観、大げさに言えば世界観が好ましい。例えば岡本太郎のような強い自己主張を全面に押し出している世界ばかりだと疲れてしまう。日本のわび、さびなどは弾き飛ばされてしまう。

 中内は小品も壁に展示している。それらはどこかサイ・トゥオンブリ―の世界に通底している印象だ。

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中内亜由美展

2023年7月24日(月)-8月5日(土)

11:30-19:00(最終日17:00まで)日曜休廊

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ギャラリー58

東京都中央区銀座4-4-12 琉映ビル4F

電話03-3561-9177

http://www.gallery-58.com