『チコちゃんに叱られる』の解答へのささいな疑義

 「なんでお母さんのことを先生って呼んじゃうの?」という質問に対して、チコちゃんの答えは「心の辞書で隣に並んだ言葉だから」というものだった。

 東京大学の広瀬友紀教授が「人は自分が覚えた言葉を脳の中に記憶し、使えるように整理していきます。この辞書のことを心的辞書(心の中の辞書)と呼びます。この心的辞書ではたまに取り出し間違いが起こります。その原因として、「音が似ている」「概念的に似ている」などがあります。子どもにとっては、「頼りになる大人」「面倒を見てくれる」「教えてくれる」といった概念が似ているので間違いやすい」と答えていた。

 私も娘が小さいときに、娘を私の弟の幼い頃の呼び名で呼んでしまったり、娘を飼っていた猫の名前で呼んでしまったことがある。逆に猫を娘の名前で呼んだりしてしまったこともあった。これらを広瀬教授のように概念的に似ていると捉えることもできるが、私は「関係が似ている」と捉えていた。小さいときの娘も幼かったころの弟も飼っていた猫も、私にとっては私が守るべき存在だった。3者は守るべき者という関係が同一なのだった。

 これとは別に、トースターの扉を開けようとして隣の冷蔵庫の扉を開けてしまったこともあった。「扉を開ける」という点が似ているのだった。

 

 もう一つは、チコちゃんに叱られるで、フォークの歯が4本なのはなぜかという質問。これに対して、フォークの歯が4本なのは、それがスパゲティを食べやすいからというのが答えだった。

 私が自宅でスパゲッティを食べるときに使っているフォークは3本歯だ。これは30年ほどまえ、虎ノ門のイタリア料理店ハングリータイガーで使われているのを見て、その柄にノリタケと刻印されていたのでノリタケに注文して買ったものだ。歯が長くいかにもスパゲティ用に作られていることが分かる。この歯が3本なのだ。

 つまりスパゲッティが食べやすいフォークの歯は3本ではないだろうか。