松尾亮太『考えるナメクジ』を読む

 

 松尾亮太『考えるナメクジ』(さくら舎)を読む。松尾はナメクジの脳機能の研究者、その長い研究歴から、ナメクジは「論理思考をともなう連合学習」もこなすと断定する。論理思考ができるとは「A=BでB=Cであれば、A=C」といった理屈がわかる、ということですと、松尾は書く。

 ナメクジにも脳がある。脳の大きさは1.5mm角くらいで、ニューロンの数は数十万個、これはヒトの10万分の1程度だという。それでも、好きな野菜ジュースを飲もうとしたとき、苦い液体を口元に与えると、それ以降その野菜ジュースには近寄らなくなる。「パブロフの犬」と同じ連合学習だという。

 なるほど、そのことはよく分かった。ナメクジに脳があり、考えることができる。その考えるということの意味は何か。まさか主体があり、自分はこういう体験をしたということはないだろう。意識する主体があるとは思えない。考えるが意識しないということだろうか。無意識のうちにやっていることなのか。ヒトの胃腸の食物への対応とどう違うのだろうか。ヒトの胃腸は意識しないで食物に対応して消化している。食物とそうでないものを認知して食物を消化している。

 ナメクジがこの辺のヒントになりそうな気がするが、まだよく分からない。

 

 

 

考えるナメクジ ―人間をしのぐ驚異の脳機能

考えるナメクジ ―人間をしのぐ驚異の脳機能

  • 作者:松尾 亮太
  • 発売日: 2020/05/21
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)