松尾亮太『考えるナメクジ』(さくら舎)を読む。松尾はナメクジの脳機能の研究者、その長い研究歴から、ナメクジは「論理思考をともなう連合学習」もこなすと断定する。論理思考ができるとは「A=BでB=Cであれば、A=C」といった理屈がわかる、ということですと、松尾は書く。
ナメクジにも脳がある。脳の大きさは1.5mm角くらいで、ニューロンの数は数十万個、これはヒトの10万分の1程度だという。それでも、好きな野菜ジュースを飲もうとしたとき、苦い液体を口元に与えると、それ以降その野菜ジュースには近寄らなくなる。「パブロフの犬」と同じ連合学習だという。
なるほど、そのことはよく分かった。ナメクジに脳があり、考えることができる。その考えるということの意味は何か。まさか主体があり、自分はこういう体験をしたということはないだろう。意識する主体があるとは思えない。考えるが意識しないということだろうか。無意識のうちにやっていることなのか。ヒトの胃腸の食物への対応とどう違うのだろうか。ヒトの胃腸は意識しないで食物に対応して消化している。食物とそうでないものを認知して食物を消化している。
ナメクジがこの辺のヒントになりそうな気がするが、まだよく分からない。