写真が呼び起こす触感

 岩合光昭の「日本の猫」カレンダーの今月は子猫だ。それもすごく小さい。高い塀の上から何か下の方にあるものを全身好奇心で見入っている。その写真を見て、子猫を抱いたときの紙のように軽い体重、抱き上げた子猫が手足を突っ張ったときの、臨月のカミさんのお腹で中から押している胎児の足の力より弱々しい突っ張り具合を突然思い出した。
 同時に、昔付き合った女性の裸の胸を撮った写真を後日見たときのことが想起された。その写真を見た途端掌に彼女の胸の触感が生々しく思い出されたのだ。あまり大きくない胸、柔らかい胸でなくて筋肉質っぽいちょっと硬めの胸だったことを。
 視覚が触感をありありと呼び起こす不思議!