国立新美術館の「安齋重男の"私・写・録"1970ー2006」展

 国立新美術館で「安齋重男の"私・写・録"1970ー2006」を見る。(2007.9.5〜10.22)1970年から現代美術の現場を撮影し続けた記録写真集、展示された数3,000枚という。すごい量だ。これらを見ると現代美術はもうやり尽くされて新しく加えるものはないのではないかとすら思えてくる。
 1970年にクリストは都美術館の彫刻室を梱包している。同年リー・ウーファンは近代美術館の大きな柱に木材をロープで括りつけている。1972年の南画廊に三木富雄が耳の彫刻を展示している。1981年フンドシ姿の工藤哲巳、1983年麻生三郎のスタジオでのスナップ、1986年砧公園で舞う田中泯、1987年佐谷画廊での戸谷成雄のチェーンソーを使った木彫の展示、1989年表参道にできた東高現代美術館、ついに一度も入らなかった。1991年平町公がなびす画廊で赤目四十八滝図を発表している。この時は見たのだろうか。1992年岡部昌生善光寺でフロッタージュをしている。このフロッタージュで今年ベネチア・ビエンナーレに招かれたのだ。1994年村上隆が若い。1996年須田悦弘の小さな木彫の雑草、2000年のギャラリー手の栗原一成のドローイング展は見ているはずだ。2001年の横浜トリエンナーレは面白かった。会田誠の作品もあった。塩田千春の巨大なドレスも忘れられない。2004年石渡誠の四角な箱、壁面が生ゴムで人を入れて中を真空にする。私も体験した。山本基は塩を使ったインスタレーションを繰り返している。
 もう見事な記録としか言いようがない。現代美術に関わる者は皆見るべきだ。残念ながら終わってしまったが。(2,000円でカタログが発行されている)。
 こんなにも網羅されていながらもちろん完璧なものはあり得ない。須田悦弘や木村太陽が取り上げられていながら、作間敏宏や吉田哲也が抜けている。いやケチを付けているわけではない。とてもいい展示だった。