学名の疑問にちょっとだけ答える

 銀座のタウン誌「銀座百点」の10月号に翻訳者の柳瀬尚紀が「美女遍歴」というエッセイを書いている。その中にフグの学名についてこんなことが書かれている。

 ただ、いくつか疑問もわく。ラテン語で学名があり、次に横文字の人名があるのだが、それが括弧内にあったり括弧がなかったりする。なぜなのか。二人の人名を並べるのに&とetを用いている。なぜなのか。(後略)

 最初の質問には答えることができる。後の質問はわからない。
 学名はリンネの2命名法で行われている。属名+種小名だ。その後に命名者が付く。命名者はその種を分類した者だ。たとえばオリーブカタカイガラムシはSaissetia oleae (BERNARD) という。Saissetia属のoleaeという種だ。命名者に括弧が付いている。これは最初BERNARDさんがLecanium oleae BERNARD と命名したのだが、その後別の学者がSaissetia属に分類し直したのだ。その場合最初の命名者を括弧に入れることになっている。なお、命名者の表記は省略されることが多い。