ポトラッチ

 何ていう新聞だったか、読者の俳句が掲載されていた。

 母 の 日 や 末 子 が く れ し 長 電 話

 末子は中国の上海に住んでいるらしい。海外からの長距離電話は高くついただろう。そんな出費をしてまで長電話してくれたのが嬉しいのだ。
 自分のために相手が出費をすることが歓待の基本だ。訪問したとき豪華な料理を用意してくれた。高価なプレゼントをしてくれた。いずれもツボは、客が良い物を得たことではなく、主人が出費をしたことだ。出費が大きければ大きいほど歓迎したことになる。
 北米インディアンが客を歓迎するとき自分の大切なものを破壊する。破壊する物の価値が大きいほど客は喜ぶ。自分のためにそこまで出費してくれたからだ。これがポトラッチだ。
 プレゼントの本質は客の得たものではなく、主人の出費にあるということがよく分かる凡例だ。