「銀座百点」の無知を笑う

 もう古い話だが、銀座のタウン誌「銀座百点」の編集部が昆虫写真家の佐々木昆を引っ張り出して銀座の動植物を調査したことがある。中央通りの植え込みやちょっとした緑地、歩道の一角などで、野草や昆虫を見つけて写真で紹介している。その経緯を対談みたいに再現していて、あ、こんなところにもいる、みたいに感激している。感激しているのは編集部だ。そして結論が、銀座もまだまだ捨てたものじゃないですね、自然が残っている、だった。こういうのを笑止という。
 春、銀座1丁目、中央通りのマルバシャリンバイの葉裏にはナシミドリオオアブラムシがびっしりと行列を作っている(だからギョウレツアブラの別名がある)し、帰化植物ツタバウンランの大きな群落もある。クスノキの並木があるからアオスジアゲハも舞っている。しかし、だからと言って銀座には自然が残っているのではない。たとえて言えば瀕死の病人をつかまえて、まだ息があるから健康ですねと言ってるようなものだ。「銀座百点」編集部の無知にあきれたのだった。