東京京橋のギャルリー東京ユマニテで井上雅之展 ―多摩美術大学退職記念― が開かれている(4月23日まで)。井上は1957年神戸市出身、1985年多摩美術大学大学院美術研究科修士課程修了。2017年第24回日本陶芸展大賞受賞。1980年代から陶を素材に立体作品の制作を試み、国内外の展覧会で発表。多くの美術館などに作品がコレクションされている。ギャラリーのホームページから、
土を捏ね焼しめて生成される陶は古来から用の美の器として使われてきましたが、井上はその身近な素材でいくつものパーツを組み上げ構成し、大規模なかたちを作り上げるという新たな手法で日本を代表する作家の一人として活躍。陶という自然の力と自身の身体をとおして生成される強固な素材で様々なかたちを立ち上げようとしています。
井上の作品は陶で作った大きくはない部品(パーツ)を多数組み合わせて大きな立体作品を作っている。それは長い間変わることのない造形手法だ。類似の造形としてわずかに青木野枝を思い出す。青木が鉄のパーツを使って大きな立体を造形している手法が類似するという所以だが、青木の立体作品が、個々のパーツの組み合わせが面白くその作品の魅力となっているものの、造形全体としては単純で、立体空間の構成に難があると言わざるを得ないのに比較して、井上の作品では、個々のパーツの組み合わせも面白く、その立体作品の空間構成も優れている。パーツが単なる部分に留まらず、そのものとしての魅力を持っている。豊かな造形だと言える。
会期が3週間もあるので、ぜひギャラリーに足を運んでみてほしい。
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井上雅之展 ―多摩美術大学退職記念―
2022年4月4日(月)―4月23日(土)
10:30―18:30、日曜祝日休廊
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ギャルリー東京ユマニテ
東京都中央区京橋3-5-3 京栄ビル1F
電話03-3562-1305
警察博物館の数軒奥