ギャラリーなつかのSEINO展が興味深い

 東京京橋のギャラリーなつかで開かれているSEINO展が興味深い(2月23日まで)。SEINOは本名清野智子、1980年生まれ。2003年東京芸術大学美術学部彫刻科を卒業している。その後、国際メディカルアーティストスクールで学び、またイギリスに留学して2008年The Glasgow School of Art Master of Fine Art Courseを修了し、現在東京工芸大学大学院博士後期課程でメディアアートを専攻している。

 今回の初個展では、4つの異なる作品を展示している。2つの標本箱に女性の陰部が型取られたオブジェが並んでいる。産婦人科を訪れた女性の2つのタイプを表していて、左は幸福な妊娠している女性の陰部、膣から伸びたヘッドホンからは病院の待合室のざわめきと胎児の鼓動が聞こえてくる。右は不幸な女性患者で、腐って臭いを発しているかのような陰部の回りに大きなハエがたかっている。

 マットレスに置かれた枕は人造の皮膚で作られており、鑑賞者が触れると作家の体温を感じることができる。イギリスに住んでいた半年間の体験で、カルチャーショックにホームシックで声を殺して泣いていたという。枕の周囲の毛髪は作家自身のもので、枕に付けられた乳首も作家のそれを型取ったもの。

 壁面に並べられた写真はイギリスの住宅で、Semi-detached houseと呼ばれるもの。一軒屋(detached house)には住めない2組の、親戚でもない家族が1つの建物を中心で仕切って住んでいる。

 4つ目は、7年前に亡くなった作家の叔母の写真。彼女は軽度の知的障がいを持っていた。
 多彩で必然的な統一性があるとは思えない展示だが、すべてSEINOという作家に関連したものであることが納得できる初個展だと思う。
       ・
SEINO Exhibition−イギリスでの仕事展−
2013年2月18日(月)=2月23日(土)
11:00〜18:30(土曜〜17:00)
       ・
ギャラリーなつか
東京都中央区京橋3-4-2 フォーチュンビル1F
電話03-6265-1889
http://homepage2.nifty.com/gallery-natsuka/