「スナップショットの魅力」のポール・フスコ

 東京都写真美術館で「スナップショットの魅力」と「ニュー・スナップショット」という2つの写真展が開かれている(2月6日まで)。
「スナップショットの魅力」は、ちらしによれば、

本展では、ウォーカー・エヴァンズやアンリ・カルティエ=ブレッソンなど写真史に刻まれるスタンダードな作品から、現代に撮影され、日本の美術館では初登場になる作品まで、未来に向け進化する「スナップショット」のエレメント(要素)とは何かを考えようとするものです。

 そして、「ニュー・スナップショット」では6人の写真家、池田宏彦、小畑雄嗣、白井里美、中村ハルコ、山城知佳子、結城臣雄が展示されている。
 最も感銘を受けたのが、「スナップショットの魅力」に25枚の写真が展示されているポール・フスコの「ロバート・F. ケネディの葬式列車」だった。

 これは暗殺されたロバート・F. ケネディの遺体(棺)をニュー・ヨークからワシントンDCまでゆっくりと運ぶFuneral train(葬式列車)に同乗したカメラマンが、列車から沿線で見送る人々を撮影したものだ。フスコはコダクロームで2,000カットを撮影したという。暗殺されたロバート・F. ケネディを悼んで大勢の人が線路脇に立って列車を見送っている。駅ではホームに鈴なりになっている。こんな言い方は変だけれど、優れたスナップショットだ。これを見るだけでも写真美術館へ行く価値があるだろう。
 箱もの行政と批判された鈴木都政だったが、この写真美術館と言い、東京都現代美術館と言い、良い仕事をしてくれたと思う。東京都現代美術館が有楽町駅前の国際フォーラムに作られていたらもっと良かったのに。